ドクターコラム

泌尿器科医が教える下腹ポッコリ&尿もれ解消法!(デリケートトラブル改善☆連載第1回)

妊娠中や産後に尿もれを経験したことはありますか?

実は30歳以上の女性3人に1人、出産経験者の約40%が尿もれに悩んでいると言うのです!!

産後しばらくして一度は治ったとしても、加齢による筋肉量の低下とともに再発。場合によっては重症化して、手術が必要になるケースもあるそう。

今回は、ゲンキのモト読者モニターさんも参加して、女性泌尿器科クリニックの先生方からデリケートトラブルについて教えていただきました!

全4回の連載記事の、第1回目をご紹介します。

<講師の先生と読者モニターさん>

<講師の先生>下段(中央)女性医療クリニックLUNAグループ理事長 関口由紀先生、(左)同クリニックネクストステージ院長 中村綾子先生、(右)同クリニック理学療法士 笹岡愛加先生
<読者モニターさん>上段左端より:岩本翔子さん(57歳)、高橋有加さん(50歳)、猪井操子さん(40歳)

すべての女性が鍛えるべきは“骨盤底筋”!

まずは女性の尿もれに深く関わる骨盤底筋群ついて、女性医療クリニックLUNAグループ理事長の関口由紀先生に教えていただきました。

関口先生
関口先生
肛門から尿道にかけての主に4つの筋肉で構成される骨盤底筋群は、膀胱や子宮、直腸などの骨盤内臓器を支える重要な働きを担っています。

排泄や出産にも深く関わり、出産においては骨盤底筋群にダメージが加わるのは避けられないため、多くの方が産後の尿もれを経験することになります

高橋さん
高橋さん
私も産後すぐに尿もれになりました。

そのときは、一時的なことなのか?この先もずっとなのか?どうしたら良いか分からずとても不安でした。

産後の尿もれは、だいたい1年もすれば自然と症状も消えて気にならなくなるそう。

しかし、それで安心してはいけません!

関口先生
関口先生
女性は40代になると骨盤底筋群の筋肉量が落ちはじめ、50代になると筋肉周囲の皮下組織のコラーゲン量も減るため、出産の古傷が50代以降に再び疼きだします。

つまり、加齢と共に骨盤底筋群が緩み切って、尿もれの再発や頻尿といったトラブルが激増するのです。

そこで重要なのが、骨盤底筋トレーニングです!

関口先生からメッセージ

女性は出産前から死ぬまで骨盤底筋トレーニングを!

出産のダメージを最小限に抑えることができ、さらに年齢を重ねても排尿トラブルに悩まない人生を手に入れられます!

便秘とタバコは尿もれを悪化させる!?

続いては、女性医療クリニックLUNAネクストステージ院長の中村綾子先生に、尿もれの原因と悪化因子について解説いただきました。

 

中村先生
中村先生

関口先生のお話にもありました【出産】や【加齢】以外にも、尿もれの原因や悪化因子は複数あります

<尿もれの原因と悪化因子>
・出産 ・加齢 ・遺伝 ・閉経 ・便秘 ・タバコ
・喘息や鼻炎などの慢性的な咳・くしゃみ

猪井さん
猪井さん
遺伝や閉経も尿もれの原因になるのですね!?
中村先生
中村先生
そうなんです。ご自身のお母様が尿もれになっている方は、年齢を重ねると同じように尿もれするパターンが多いです。

また、産後は何ともなかったのに、閉経してから急に尿もれの症状が出たという方もいらっしゃいます。

閉経後はコラーゲンやエラスチンが減少して、その結果、骨盤底筋群が構成する『骨盤底』というプレート全体が弱くなるので、尿もれが悪化してしまうのですね

岩本さん
岩本さん
私も、更年期になった頃からトイレが間に合わないことが何回かありました。

悲しかったし、とてもショックでした!!

尿もれって、生活面だけでなく、精神面でもジワジワと地味に苦しめられますよね。

中村先生
中村先生
尿もれの悪化因子のうち、ご自身の生活習慣を改善することでリスクを減らすことができるのは【便秘】と【タバコ】です。

便秘は、排便のときに強くイキむため、骨盤底に圧がかかり緩みの原因となります。そういった方には、下剤の処方もしています。

タバコを吸われている方は骨盤底に悪影響を与えるので、すぐに辞めた方が良いでしょう

<骨盤底とは?>

骨盤底とは、筋肉(骨盤底筋群)や皮下組織、靭帯などでできたプレートで、骨盤内の内臓を下から支える重要な役目を担っています。
筋肉は主に男性ホルモンが影響し、皮下組織や靭帯は主に女性ホルモンが影響しています。
卵巣は女性ホルモンも男性ホルモンも分泌している大切な臓器なのです!!

まとめ

女性医療クリニックLUNAグループでは、多くの女性が悩む「尿もれ」に対し、治療法があることを知ってもらいたいと考えています。

中村先生のメッセージ

尿もれの治療やトレーニングを行っている医療機関は、日本全国でもまだまだ少数です。

理解のない男性婦人科医に「そんなの年のせいだよ」と言われてしまったという残念な声も。

トレーニングや薬物治療、手術など、尿もれ改善のための手立ては複数ありますので、諦めずに専門クリニックの戸を叩いてみてください!