健康

またもや風疹大流行の危機!! MRワクチンでこの危機は乗り越えることができる

またもや風疹大流行の危機!! MRワクチン1本でこの危機は乗り越えることができる

風疹がまた流行りだしていますね。

風疹はとても感染力の強い病気です。
接触感染や飛沫感染で簡単に感染し、学校や職場、電車や街中など、どこでうつるかわかりません。

そして、風疹から身を守る唯一の方法は『予防接種』です。

あなたは、風疹にかかったことはありますか?
風疹の予防接種を受けたことはありますか?

もしどちらでもなければ、今すぐに病院でMRワクチン(風疹と麻疹を予防するワクチンです)を受ける必要があります。

お仕事があるから無理?お金をかけてまで打つ気はない?

でもね、あなたの勇気ある行動で、誰かの大事なお腹の赤ちゃんを、悲しい運命から救うことができるのです。

今回は、そんな赤ちゃんを救うお話。
2018年10月11日に都内で開かれた、小児科医と先天性風疹症候群(CRS)の患者会によるセミナーをレポートいたします。

2018年9月30日時点で風疹患者数は952人

▲ご講演いただいた小児科ドクターと患者会の方々。右から、NPO法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会 理事長 菅谷先生、副理事長 太田先生、副理事長 藤岡先生。風疹をなくそうの会『hand in hand』共同代表 可児さん、大畑さん。

国立感染症研究所が、2018年9月30日までの風疹の累計患者数が952人に達したと発表しました。
昨年一年間での患者数は93人ですから、今年はたった9ヶ月でその10倍になってしまった状況です。

1週間毎の新規患者数は同日までに4週連続100人を超え、このまま放置すれば、約17000人もの感染者を出した2012年〜2013年の二の舞となってしまうでしょう。

前回の流行では、20代〜40代男性の感染が大半で、ニュースでも多く報道されていましたから、みなさんの記憶にもまだ新しいのではないでしょうか?

風疹のほんとうの怖さ

じつは風疹の怖さは、高熱や発疹といった症状だけではありません。
本当に怖いのは、気づかないうちに妊婦さんにうつしてしまった場合です。

とくに妊娠20週までの初期の妊婦さんに風疹をうつしてしまうと、お腹の中の赤ちゃんが難聴、白内障、心臓病、脳障害などの「先天性風疹症候群(CRS)」という一生治らない重複障害になる可能性があります。

大変悲しいことに、前回の大流行でCRSとして生まれてきた赤ちゃんは45人。そのうち11人はすでに亡くなっています。

しかし、それよりももっともっとたくさんの命が『中絶』という形で、この世に生を受けることなく亡くなっていることを、私たちは知っておかなくてはなりません。

妊娠中に風疹に感染してしまったお母さん

講演では、「風疹をなくそうの会『hand in hand』」の大畑さん可児さんから、ご自身の体験と現状への思いをお話しいただきました。

大畑さんが風疹に感染したのは、第三子をお腹に宿した妊娠14週のときでした。

長女の幼稚園で風疹が流行し、長女と大畑さんが相次いで感染。42度まで熱が上がり、全身の発疹を目の当たりにしたとき「大変なことになってしまった」と、ただただ呆然とするしかなかったと言います。

大学病院に入院し、体調が回復してさあ退院というときに、医師から「大畑さん、帰る前に堕していくよね?」と声をかけられました。

頭が真っ白になりながらも、家族と相談するため一旦帰宅することに。
そしてそのとき、初めてお腹の子の胎動を感じたそうです。

「お願いだから動かないで!あなたのことを諦めなければいけないかもしれないのだから!」涙が止まりませんでした。

「生まれてくれば、子どもは少しの怪我や病気でも、大人たちから大事にケアされて守られて生きていけるのに、生まれる前というだけで命が軽く扱われてしまうがどうしても納得できなかった」

と、大畑さんは語ります。
彼女はCRSとなった我が子の出産を決意しました。

37週で生まれた娘さんを取り上げた産科の医師は、生まれたばかりの赤ちゃんを掲げて、「この子が見えるか!?産声が聞こえるか!?」と大畑さんと出産の喜びを分かち合ってくれました。退院前の医師面談では、小児科の主治医から「闇から闇へと消されていく命を生んでくれてありがとう」と頭を下げてくれたそうです。

注射一本で防げる風疹のために我が子が犠牲になってしまった悔しさと悲しみ、そしてこれ以上自分と同じようなお母さんを増やしたくないという思いで、大畑さんはこの活動を続けています。

CRSのお子さんを亡くした可児さん

『hand in hand』共同代表の可児さんが不妊治療で待望の赤ちゃんを授かったのは、1981年。当時、日本では風疹が流行していました。そして、生まれた赤ちゃんには白内障、難聴、心臓病の障害があることがわかりました。

障害にも負けず明るく前向きな娘・妙子さんが、その短い生涯を閉じたのは彼女が18歳のときでした。

亡くなる1時間前に、妙子さんがご両親に向けて書いた手紙があります。
そこには「お父さんと お母さんと わたしは がんばりました」と書かれてありました。

▲18歳の若さで急逝した娘の妙子さん。

「妙子が亡くなったときに、私は娘から宿題をもらったと感じました」
風疹の流行を繰り返す現状を変えるために、可児さんはHPを作り、CRSを出さないための活動を始めました。同志とともに日本中を飛び回り、風疹の啓発活動を精力的に行っています。

前回2012〜2013年の流行直後に生まれた子どもたちは、来年小学生になります。ちょうど今は、その子たちが就学時健診を受ける時期でしょう。

じつはこの就学時健診で難聴や言葉の遅れに気づき、胎児のときの風疹感染が明らかになるケースがあるのではと、可児さんは懸念しています。

風疹ウイルスは生後半年〜1年経つと赤ちゃんの体内から消えてしまうため、障害が軽い子はCRS認定されず放置されている可能性があります。また、感染していても症状の出ない『不顕性感染』は感染者の30%にあたり、お母さんが感染に気づかなかったケースも考えられます。

臍帯血から風疹感染を調べることもできますが、今の法律では全ての希望者を検査することはできません。

「今回の流行の中心も、過去に予防接種の機会を与えられなかった30代〜50代の働き盛りの男性たちです。どうかこれ以上、妙子のようなCRSの子どもを増やさないために、予防接種に行ってもらいたい。そして、国はもっと真面目に風疹対策に取り組んでほしい」

可児さんの悲痛なメッセージが心に残りました。

働き盛りの男性はMRワクチン接種を

ここのところ、風疹は5年に一度の周期で流行しており、「国が有効な手段を打たない限り、流行は何度も繰り返す」と、何年も前から小児科団体が厚生労働省に提言してきました。

今回の流行で、国は今まで『妊娠を希望する女性とその同居家族』が無料対象だった抗体検査を、2019年度から『30代〜50代の男性』も無料で受けられる方針を固めました。

しかし小児科医の藤岡先生は、この施策はナンセンスであると指摘します。

「風疹抗体が30代〜50代の男性にないことは、過去の予防接種施策から見ても、実際の感染流行調査においても明らかです。
抗体検査を受けに行き→再度結果を聞きに行き→予防接種を打ちに行くのでは医療機関に3回も足を運ばなくてはいけません。
忙しい働き盛りの男性が、果たしてどれだけ利用してくれるのか疑問です」

「日本の30代〜50代男性はざっと500〜600万人います。この人たち全てにワクチンを接種するとなると数が足りません。
今、国がやるべきは抗体検査の無料化ではなく、海外からの緊急輸入と予防接種法で規定されている臨時接種(個人の費用負担なしで予防接種が受けられます)の早期実現です。
かつてこの二つの方法で、日本はポリオの爆発的流行を食い止め、根絶することに成功しました」

国がやるべき最善策はすでに示されています。(しかも、何年も前から)
予防接種を希望する人が増えれば増えるほど、緊急輸入と臨時接種が現実味を帯びてきます。国を動かすのは、わたし達個人の行動にかかっています。

風疹抗体をもたない30代〜50代の男性が1人でも多くMRワクチンを接種することを願います。

まとめ

わたし自身、可児さんの活動を取材したことがきっかけで、子どもの予防接種のついでにMRワクチンを接種してきました。

過去の妊婦健診の血液検査で風疹抗体はついていましたが、抗体値は時間とともに落ちてしまうこと、ちょうど風疹流行期であったこと、風疹抗体がつかない体質の友人(体質的に予防接種を受けても抗体がつかない人が5%存在します)を守りたかったことなど、理由はいろいろあります。

しかし一番の理由は、まだ生まれる前の子どもたちから未来を奪ってしまうのは、なんてかわいそうなことだと思ったからです。

やえ編集スタッフ
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報道を見て、記事を読んで、ちょっとでもそう思っていただけるなら、どうかたった1本のワクチンを打ちに行ってもらえたら嬉しいです。

▼風疹をなくそうの会『hand in hand』の詳細はコチラから
https://stopfuushin.jimdo.com/

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ゲンキのモトの編集・ライティング担当。13才と9才の男の子がいます! インスタグラムでも、日々のお弁当や大好きなスイーツなどをアップしています♪良かったら見にきてくださいね!(@mainichi_sweets_genkinomoto