2022年12月11日、千葉市生涯学習センターにて、千葉市・風しんをなくす会・風疹をなくそうの会『hand in hand』共催、厚生労働省・千葉県後援で、舞台演劇「遙かなる甲子園」が上演されました。
「ルールに基づいて繰り広げられる戦いに、ろうあ者も健常者もない!」
1964年、東京オリンピックの年。まだ風しんのワクチンがなかった時代。
沖縄では風しんが猛威をふるい、感染した妊婦さんから、聴力などに障害を持った400名を越す先天性風しん症候群(CRS)の子ども達が生まれてきました。
「遙かなる甲子園」は、彼らのために創設された期間限定の「ろう学校高等部」を舞台に、野球に打ち込む高校球児たちの実話を元にした物語です。
数々の大きな壁に阻まれながらも甲子園出場の夢を追い続ける、躍動感あふれる感動作となっています。
(原作:戸部良也、脚色:西岡誠一、演出:鈴木完一郎)
もう一度、風しん対策について考えてみよう
今回このイベントが企画された目的は、市民に広く風しんについて周知し、抗体のない方に予防接種を呼びかけ、風しん感染から妊婦さんとお腹の赤ちゃんを守るためです。
風しんは、発熱、発疹、リンパ節の腫れを特徴とするウイルス性の感染症です。
感染力が非常に強く、妊娠初期の妊婦さんが感染すると、赤ちゃんの目や耳や心臓などに障害が出る先天性風しん症候群(CRS)や早産の可能性が高まります。そして、場合によっては人工妊娠中絶を迫られることもある、我が子を待ち望んだ家族にとって非常に残酷な感染症です。
近年では、2013年に14,344例の風しん感染報告があり、この流行の影響で2012年10月〜2014年10月には45人もの先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれました。
さらに、2018年〜2019年の流行では5,239名が感染し、6人の赤ちゃんが先天性風しん症候群と診断されています。
風しん予防には2回のMR(麻しん風しん)ワクチン接種が必須
風しんを確実に予防するためには、2回のMR(麻しん風しん)ワクチン接種が必要です。
たとえ過去に感染したことがあっても、抗体価は次第に下がってしまうため、決して安心はできません。
しかし、過去のワクチン制度の関係で、これまで一度も風しんのワクチンを打つ機会のなかった世代が存在します。
それが、昭和37年4月2日〜昭和54年4月1日生まれの男性です!
現在、国はこの世代の男性に対し、無料で風しんの抗体検査とMRワクチン接種が受けられる「第五期定期接種」を実施しており、2025年3月末まで施策が延長されることが決まりました。
ところが、コロナ禍の影響で、思うように接種率が上がらない現状があります。
今年(2022年)1月〜10月では、12名の風しん感染が報告されており、うち9名が成人男性でした。感染した12名中ワクチンを2回接種した人は一人もおらず、未接種または接種歴不明、1回接種のいずれかという報告が上がっています。
また、2019年〜2020年の風しん患者報告の中心は、40代〜50代の成人男性であったことからも、引き続き、これらの年代の男性に積極的な検査とMRワクチン接種をお願いする必要があります。
(参考資料:国立感染症研究所 感染症疫学センター「風疹に関する疫学情報 2022年11月9日現在」)
コロナ禍での接種控えは、1歳で接種する「第一期定期接種」の接種率にも影響が出ています。
2021年度の接種率は、残念なことに、なんと前年の5%減にまで落ち込んでしまいました!
また、2021年度は、小学校入学前に実施される「第二期定期接種」においても全体的に接種率が減少しており、沖縄県では90%を切ってしまっています。
繰り返しますが、風しんを予防するには、2回のMRワクチン接種が必要です。
「1歳のお誕生日と小学校入学前年の2回の接種。第5期定期接種の対象者はクーポン利用」と覚えましょう!
風しんは必ずまた流行する!
withコロナが進み、社会活動が元に戻りつつあるなか、いつ風しんが再流行してもおかしくありません。
これ以上、先天性風しん症候群の子どもたちを増やさないためにも、一人一人が風しん対策を意識することがとても大切です!
40代〜50代の風しんワクチン空白世代の男性は、お仕事が多忙で医療機関の受診をためらわれる方も多いかと思います。
しかし、自治体によっては夜間や休日に検査や接種できる体制を整えている場合もあるので、お住まいの自治体に確認してみてください。
★ご自宅に自治体からの無料クーポンが届いた方は、是非、クーポンを利用して抗体検査を受けましょう。その結果、抗体がなければ、そのクーポンでMRワクチン接種をお願いします!
★第5期定期接種事業は、自治体によって取り組み方が違うため、是非お住まいの自治体に問い合わせいただくことも大切です!
★コロナ禍で、お子さんの予防接種スケジュールが予定通り進んでいない場合には、小児科の先生に必ず相談しましょう!
自分の大切な人を守るためにも、みんなが風しんについて、もう一度考えてみることが大切だと思います。
あなたの勇気ある行動が、誰かを守る大きな力になります。