生まれつき耳のきこえ(聴覚)に問題がある赤ちゃんは、1000人に1~2人の割合でいるといわれています。
聴覚は言葉の習得や発達に影響するため、難聴を早期に発見して治療に繋げられるかどうかは、その後の人生を大きく左右することになるでしょう。
そこで、重要となるのが「新生児聴覚検査」とよばれる、生まれてすぐに産院などで行うスクリーニング検査です。
近年、新生児聴覚検査の受診を後押しするため、地方自治体が検査費用の一部を助成する動きが広がっており、東京都でもようやく2019年4月から一部助成制度がスタートしました。
それと同時に、難聴や難聴治療の正しい情報の少なさが新たな課題となっています。このような現状では、新生児聴覚検査で「要精密検査(リファー)」と告げられ絶望感に包まれてしまう保護者も少なくありません。
聴覚を得るための治療で最も一般的なのが補聴器です。しかし、その効果が不十分だった場合に、次の選択肢として考えられるのが「人工内耳」という治療です。
人工内耳はその有効性に個人差があり、また術後のリハビリテーションが重要となります。
この人工内耳について多くの方に知ってもらうため、専門医や実際に使用されている方のお話を直接聞くことができるイベントが、6月22日(土)に東京医科大学で開催されます!
東京医科大学病院では1985年(昭和60年)12月本邦最初のコクレア社製の人工内耳埋め込み術を施行して以来33年、今年2月に1,000例になりました。その歴史の中には様々なことがありました。小さいときに手術して、就職した人は100人以上、大学相当年齢は150人以上になりました。多くの方が人工内耳を有効に使用され生活を有意義に過ごされていることかと思います。とは言え、人工内耳を使用しても十分に聞こえず、社会生活で困ることは多々あるのも事実です。
このような状況において、今回、「東京医科大学 人工内耳1,000例記念祝賀会(生活・就職の問題点と対策)」を開催する運びとなりました。会にあたっては、人工内耳のみではなく広く聴覚障害者の就労と生活の現状と課題も含めて、下記のプログラムでお話ししていただくこととしました。
人工内耳の歴史を担う機器の面からの話を3メーカーの方に、実際の人工内耳使用経験を成人、お子様(本人)、お子様の親御様に、そして最後に現在の人工内耳装用者の生活、就職の問題点および今後の社会的な整備などについて、人工内耳を含めた難聴者について考える機会にしたいと考えました。
つきましては、ご興味ある方には是非ご参加いただきたくご案内いたします。
(東京医科大学 人工内耳1,000例記念祝賀会のご案内より抜粋)
誰でも参加できる人工内耳の専門的なセミナーは貴重な機会となりますので、ぜひ多くの方にご参加いただけたらと思います!
「東京医科大学 人工内耳1,000例記念祝賀会(生活・就職の問題点と対策)」
日時:令和元年6月22日(土) 13:00〜17:00
場所:東京医科大学病院 6階臨床講堂
参加費:無料
対象:ろう学校・聴覚支援学校・通級学級・人工内耳・補聴器関係者、一般者
プログラム(予定、順変更の可能性あり)
1:人工内耳の現状と問題点の話(メーカー3社)
2:患者さんの話
3:白井杏湖医師(東京医科大学)「当科1000例の経験から」
休憩
4:戸田重央様(障がい者総合研究所 所長)
「聴覚障害者を中心とした障害者の就労の現状と問題点」
5:斎藤りえ様「聴覚障害者への対策の現状と今後」
会後、懇親会(無料)
事前予約は不要です。当日会場にお越しください。
お問い合わせ:東京医科大学病院聴覚・人工内耳センター秘書熊谷(acic@tokyo-med.ac.jp)までメールにて。