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【小児診療XR】子どもの“怖い”を“楽しい”に変える、心療内科医が開発した医療XR

目覚ましい発展を遂げるバーチャル・リアリティー(VR)などのXR技術が世界各国の医療現場ですでに活用されるなか、遅れをとる日本。

XR技術の国内での医療活用拡大を目指してアプリ開発を手がける、「株式会社BiPSEE」代表取締役の松村先生を取材しました。

現役心療内科医である松村先生が開発した、新たな診療ツールの可能性に迫ります。

お聞きしたのは!

株式会社BiPSEE
代表取締役 松村 雅代 先生
日本内科学会認定医、日本心療内科学会認定登録医、労働衛生コンサルタント(保健衛生)

医療XRとは?

すでに耳馴染みのある「バーチャル・リアリティー(VR)」という言葉。どんなものかと聞かれれば、多くの方がなんとなくイメージできるのではないでしょうか?

一般的にVRとは、専用ゴーグルなどを着用することで、コンピューターグラフィック(CG)映像の世界に実際に入り込んだかのような体験ができる技術のことを指します。

VRの進化版として、あまり聞き慣れない単語ですが、「オーグメンテッド・リアリティー(AR)」「ミックスド・リアリティー(MR)」という技術も開発されています。

VR バーチャル・リアリティー
AR オーグメンテッド・リアリティー
MR ミックスド・リアリティー

ARは、CGで作られた映像を現実世界に重ねて投影する技術で「拡張現実」とも呼ばれます。

2016年にリリースされ大ヒットしたスマートフォンアプリ「ポケモンGO」も、AR技術が利用されているんですよ!

MRとは、ARからさらに一歩踏み込み、現実に投影されたCGに触れたり動かしたりといった干渉ができる「複合現実」と呼ばれる技術です。

VR→CG映像の世界に実際に入り込んだかのような体験ができる技術
AR→CGで作られた映像を、現実世界に重ねて投影する
MR→現実に投影されたCGに触れたり動かしたりできる

VR、AR、MRを総称してXR技術と呼び、今までは主にゲームや映画などのエンターテインメントの分野で盛んに開発・利用されてきました。

ところが、近年XR技術は医療の分野でも開発や試作が行われ、アメリカやイギリス、スイス、スペイン、イスラエル等の臨床や教育の現場で、すでに活用が始まっています。

医療現場でのXR活用法

医療現場で、XRがどのように活用されているか、具体的に見ていきます!

VR ・患者向け:CTやMRI画像を再構成したVRを用いた手術説明ツール、不安障害に対する暴露療法ツール

・研修医・医学生向け:先天性心疾患の理解を進めるVRツール

AR ・術野に病変の映像を重ねて、手術の正確さと迅速さ向上を目指すツール
MR ・手術中にバイタルデータや検査画像をMR表示するガイドツール

今のところ国内の病院やクリニックにおいて、患者である私たちが直接XRツールに触れる機会はありません。

しかし、医師の間ではMRデバイス「HoloLens」を用いて、体内の3D画像を見ながら手術シミュレーションや医療教育などを行うツールも登場!

徐々に日本でも医療XRが利用されるようになってきました。

小児用の医療XRを開発した松村先生

日本の医療XR黎明期とも言える現在、先頭を切って小児用の医療XRを開発した株式会社BiPSEE 代表取締役の松村先生を取材させていただきました。

松村先生の経歴

・株式会社リクルートに入社後、アメリカのCase Western Reserve Universityで医療経営学を学びMBAを取得

・アメリカ医療ベンチャーSkila Inc.日本支社代表

・岡山大学医学部に学士編入し、医師免許を取得

以上のような異色の経歴の持ち主です。

現在は、週に1回、都内の医療機関で心療内科医として外来を持ちながら、医療XRの開発・販売に取り組んでいます。

松村先生のBiPSEEでの取り組みは、世界的経済誌「Forbes」の日本版2018年8月号でも、今注目の技術革新者として紹介されています。

小児診療の現場で活きるXRツール

松村先生が開発した「BiPSEE医療XR」は、小児の診療ハードルを下げるためのスマホアプリです。

子どもが恐怖心を持ちやすい、処置や採血などでの活用が期待されています。

専用ゴーグルに専用のスマホをセットして、CGアニメーションをVRやARで楽しむことができます。

小さなお子さんの目に負担がかからないよう、2Dコンテンツを単眼ゴーグルで視聴する視機能に優しい設計を採用。

リリースされているのは下記の8バリエーション

・海のいきものとあそぼう!
・キノコの森たんけん
・毎日がクリスマス
・お菓子の国
・縁日
・不思議の世界
・動物の国
・海辺のゴリラ

どれも愛らしい動物やキャラクターが現れたり動いたりして、思わず子どもが目を奪われるような、おとぎの世界をイメージしたCGアニメーションです。

特徴的なのは、どのテーマもボタンを押すだけで、シーンをAR、VR、アニメーションと自由に展開できる点です。

【AR】

「海のいきものとあそぼう!」のARでは、クラゲや熱帯魚などが海の中を泳ぐ様子が現実の背景に投影されます。

いきなりVRの世界を見せるよりも、現実の医師や看護師、保護者の姿にCGアニメーションを重ねるほうが、安心感を残しつつも子どもの好奇心や興味をくすぐることができます。

【VR】

ボタンを押すとAR画像が徐々にVR画像へと切り替わっていきます。

子どもが嫌がる診察室への移動や処置の様子を見せることなく、CGアニメーションだけが見える状況を作り出します。

これにより恐怖心が軽減され、治療へのハードルを下げることが可能となります。

AR、VR、アニメの切り替えは、専用ゴーグルにスマホをセットしたままの状態で、ボタンひとつで操作が可能です。その子の最も興味を示す動画に、素早く簡単に切り替えることができます。

実際に、1〜7歳の子ども達を対象に、水いぼ摘除などの皮膚科処置や採血などでXRを使用した際の患者アンケートでは、16人中13人が「XRを楽しめた」と回答。

治療を嫌がる子どもの2/3が、XRの使用で嫌がらずに治療を受けることができたと回答しています。

怖かった診療や治療もXRツールの力を借りて乗り越えることで、子ども達の自己効力感を育み、以降の診療も積極的に参加できるという好循環を生み出しています。

心療内科医松村先生
心療内科医松村先生
心療内科医としてのスタンスは、

「薬は、1本指で背中を押す程度の支えに過ぎず、回復のプロセスを踏むのは患者さん自身。」

その方の背中を押してくれるものを一緒に探すのが心療内科医の役目です。

医療XRは、ここに出てくる薬と同義であり、患者さんの背中を押すひとつのツールであると語ります。

まとめ

治療に対する痛みや不安を軽減し、子ども達が前向きに診療に臨むきっかけを提供する「BiPSEE医療XR」。

現在、歯科や皮膚科をはじめとした医療機関での導入が進んでいます。

昨今、診療パフォーマンスの向上を目指して、遠隔診療などの新たな技術やシステムを取り入れる動きが加速する医療現場。

患者と医療者双方に快適性と利便性をもたらす医療XRは、今後ますます注目されることでしょう。

BiPSEE医療XRについてもっと知りたい方はコチラ
https://www.bipsee.co.jp/

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