人にはなかなか相談しづらい排尿トラブルについて、五反田泌尿器科内科 すどうクリニック院長の首藤先生にお聞きしました。
五反田泌尿器科内科 すどうクリニック
院長 首藤直樹先生
日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医・指導医、日本がん治療学会認定医
★クリニック取材記事はコチラ
膀胱炎について
Q なぜ膀胱炎は女性に多いの?
膀胱炎は、大腸菌などの細菌が膀胱に感染して炎症を起こす病気です。女性は尿道が男性と比べて短く、膣や肛門との距離も近いため、膀胱炎になりやすい傾向があります。
風邪や疲労、月経などで身体の抵抗力が落ちているときに発症しやすくなります。
膀胱炎の主な症状
こんな症状は泌尿器科へ!
●排尿痛:炎症を起こした膀胱が、排尿で収縮するときに刺激されるため、下腹部や尿道口に痛みを感じます。
●頻尿:炎症で膀胱が刺激されるため、トイレに行く回数が増えます。また、一回に出る尿の量は少なくなります。
ほかにも、尿が濁ったり、血尿が出たり、残尿感や下腹部の不快感、鈍痛、尿漏れなどの症状が挙げられます。
膀胱炎を放置すると、細菌感染が腎臓まで広がる「腎盂腎炎」に悪化するケースも。症状が出たら、なるべく早く泌尿器科を受診しましょう!
Q 寒くなると膀胱炎になりやすい?
「膀胱炎は冬になる」と多くの方が思われていますが、冷えは間接的な原因となるだけで、寒さや季節に関係なく膀胱炎は発症します。(ただし、冷えは頻尿の原因にはなります)
暑い季節であっても気になる症状があれば、放置しないで早めに受診するようにしましょう。
Q なぜ膀胱炎は繰り返すの?
例えば風邪をひくと免疫がついて同じウイルスには感染しにくくなるのが一般的ですが、膀胱炎はそれとは逆で、一度かかると繰り返し発症するという厄介な特徴があります。
約4割の人が1年以内に再発を繰り返したというデータもあり、その理由としては再感染が原因である場合と、治り切らないうちに薬を勝手にやめてしまったり、合わない薬剤を使用していた場合などが挙げられます。
予防のためにできること
●通気性のよい下着を着用し、毎日交換する。
●生理中はナプキンをこまめに替え、入浴で身体を清潔に保つ。
●排尿後は前から後ろに拭く。
●セックス直後は排尿を心掛ける。
●長時間トレイに行けない状況を避ける。
Q もしも膀胱炎になってしまったら?
●なるべく早く泌尿器科を受診する。
●処方された抗菌薬は決められた日数きちんと飲み切る。
●水分をたくさんとってトイレにこまめに行き、膀胱内の細菌を洗い流す。
●香辛料、アルコール、炭酸飲料など、刺激の強い食べ物や飲み物を控える。
●セックスを控える。
頻尿について
Q 毎晩夜中にトイレに起きてしまうのは普通?
実は、夜間に排尿のため1回でも起きてしまうのは「夜間頻尿」に該当します。
年齢が高くなるにつれ夜間頻尿になる人は増える傾向にあり、50歳代では男女とも夜1回以上トイレに起きる人は2人に1人いるとされます。
夜間頻尿は尿意で眠りが妨げられるため、慢性的な睡眠不足で日中も眠気が取れないなど、日常生活にも支障をきたしてしまいます。
(本間之夫,柿崎秀宏,後藤百万,他.排尿に関する疫学的研究.日本排尿機能学会誌 2003; 14: 266–277.より作成)
夜間頻尿の原因は、①作られる尿量が多い(多尿)、②膀胱に貯められる尿量が少ない、③睡眠障害の三つが挙げられ、原因によって治療法が異なります。
糖尿病や高血圧、心疾患、腎機能障害などほかの病気が隠れていることもあるため、夜中のトイレで睡眠が十分に取れないと感じるときは、泌尿器科に相談することをおすすめします。