離乳食は作らず買うことを進めている小児科医の工藤紀子先生。
離乳食が始まるのはだいたい生後5ヵ月〜6ヵ月、まだ夜まとまって寝ない赤ちゃんは多く、育児に疲れてしまうママたちの体が心配されます。
ただでさえ大変な育児に加え、成長段階に合わせた離乳食作りで、ママの精神的・体力的な疲労はピークに!
今回はそんなママたちの心の悲鳴をご紹介します。
産後のママは疲れがピーク
Q.
工藤先生は小児科医としてクリニックに勤務されていますが、具合が悪そうなのは子どもだけでなく、ママも元気がないと感じることが多いんですか?
A.
ママたちは出産直後から、数時間おきのお世話で寝不足、家事や上の子どもの相手などで疲れがたまっています。
精神的にも肉体的にもギリギリの状態なんです。
離乳食作りはこんなに大変 その① 離乳食作りのマニュアルは細かすぎる!
「ゴックン期」「モグモグ期」「カミカミ期」、離乳食は成長段階によって調理法を変えなければなりません。最初はペースト状、次は上あごで噛みつぶせる固さ、などなど。ステップがとても細かい!
「細かくきざむ」「柔らかくなるまで煮る」「すりつぶす」「すりおろす」「裏ごし」「塩抜き」どれもこれも調理では手間のかかる方法ばかりなのに、離乳食で使うのはほんの少しの量だけです。
食材にも注意します。まずは10倍がゆをスプーンひと匙から、おかゆに慣れたらタンパク質も補う、ペースト状の野菜を10g加えてみる、やることが多すぎて頭がパンクしてしまいそうです!もちろん、アレルギーにも気をつけなければなりません。
手作りの離乳食では、気をつけないければならないことだらけなんです。
離乳食作りはこんなに大変 その② SNSみたいなキラキラ離乳食は作れない!
離乳食のレシピ本や育児雑誌だけではなく、ネットでも簡単に離乳食のレシピを入手できます。そのどれもが、オシャレで彩り豊か、お皿にもこだわっているなど、キラキラしていて「がんばって作ってみよう!」と思わせるものばかりです。
しかし実際は、どんなにがんばっても、かわいく盛り付けても、そんなの関係ないと言わんばかりに子どもは食べてくれません。
InstagramやFacebookなどのSNSでは、離乳食がスムーズ進んでいる投稿があり、「どうして自分はできないんだろう」と凹んでしまうママもいるのではないでしょうか?
ママはシェフではありませんし、栄養士のように精通した知識がない場合がほとんど。完璧な離乳食を追い求めてしまいがちですが、作れなくても落ち込む必要はないんです。
離乳食作りはこんなに大変 その③ がんばって離乳食を作っても食べてくれない
作った離乳食を、子どもはパクパクおいしそうに食べてくれるのが理想です。しかし想像以上に子どもは離乳食を食べてはくれません。触ってグチャグチャにしたり、投げて遊んだり、がんばって作ったママはがっかりしてしまいます。「何が悪かったんだろう?」と思い悩んでしまうこともあるでしょう。
食べてくれない上に、汚れた服の洗濯や飛び散った離乳食の掃除をする手間が増え、ママが怒るのも無理はありません。
子どもにとって離乳食は初めてみる食べ物。今まで母乳やミルクしか飲んでいないので、興味津々なんです。初めてみるものを触って確かめるのは自然な行為、「これはなんだろう?」という好奇心なので、ママの離乳食が悪いわけではありません。
離乳食作りはこんなに大変 その④ どんなに大変でもやめられない離乳食作り
昔から、離乳食を手作りするのは当たり前で、やめるなんて選択肢はママの中にはありません。作らない=ママ失格のレッテルが貼られてしまう、と思ってしまいます。
ママだから、母親だから
ママなんだからやって当たり前
今までみんなやっていることだから
ママは我慢してもやるべき
ママを苦しめる呪縛から逃れられないでいるのです。
だからこそ工藤先生は、「離乳食は絶対作らなければいけないものではない」と、苦しんでいるママに伝えたい一心で、本を出版しました。
離乳食作りはこんなに大変 おわりに
離乳食は手作りすることが当然で、手作りが愛情だと思われてきました。
どんなに大変でも頑張るのがママだから、つらくてもやめることができずにいたんです。
しかし、手作り離乳食は義務ではありません。
離乳食は買っていいんです!買うことで、ママのつらさは間違いなく減ります。
工藤先生は、実体験と小児科医としての医学的観点から、離乳食は買うことを進めています。手作りにこだわらず、市販の離乳食を利用してみてくださいね。