ドクターコラム

「パパは受けてる?」赤ちゃんを守る風しん予防接種

昨年冬頃から、日本では風しんが流行しています。
少し前まで連日のようにニュースにも取り上げられていましたが、感染している方のほとんどが30代~50代の「男性」であることをご存知ですか?

なぜ、男性ばかりが感染しているの

昭和54年4月2日より以前に生まれた男性は、公的に予防接種を受けられる機会がありませんでした。
現時点で40歳以上の男性がそれにあたり、一番活動的な世代が受けていなかったことで感染が広がってしまった可能性があります。

実は怖い!?風しんってどんな病気

風しんは、「風しんウイルス」によっておこる急性の発疹性感染症で、

主な症状発疹・発熱・リンパ節の腫れ

潜伏期間は2~3週間(平均16~18日)で、唾液のしぶきなどの「飛沫」によって人にうつります。

発疹が出たあとも、1週間程度は感染力があると考えられており、感染力の強い病気です。
そして、もっとも怖いのが、妊婦さんが風しんに感染することです。
妊娠中の女性が妊娠20週頃まで(特に妊娠初期)に風しんにかかってしまうと、胎児に風しんウイルスが感染し、難聴・心疾患・白内障・精神や身体の発達の遅れ等の障がいを持った赤ちゃんが生まれる可能性があるのです(「先天性風しん症候群」という)。

風しんを予防するにはどうしたらいい

妊婦さんはもちろん、免疫力の低い赤ちゃんなどに移さないためには、「かからないこと」が第一。
それには、予防接種を受けることが、もっとも有効な予防方法です。
現在、風しんワクチンは「MRワクチン」という麻しんと風しんの混合ワクチンとなっていますが、予防接種をすることで95%以上の方が、麻しん・風しん両方のウイルスに対する免疫を獲得することができるといわれています。

何回接種するべき

現在は満1歳になったら1回目接種(第一期)、その後小学校入学前に2回目接種(第二期)をすることになっています。
平成2年4月2日より以前に生まれた方については公的には1回しか接種していないため、接種後年数の経過とともに免疫が低下している可能性もあります。
追加のワクチンを受けることで免疫を再び増強させる効果を期待できます。
また、抗体検査を受けることで抗体があるかどうかを確認することができますので、抗体検査を受けて自身の状態を知ることも大事な一歩です。

対象者は無料!ぜひ予防接種を!

公的に予防接種を受けられる機会のなかった、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性には、住民票のある各市区町村からクーポンが届きます。
そのクーポンと本人確認書類を持参すると、抗体検査(血液検査)が無料で受けられます。
抗体がないと判断された場合は、MRワクチンの予防接種が無料で受けられます。

大事な家族を守る、予防接種。
パパがこの世代だったら、ぜひ「パパは受けてる?」と聞いてみてください。