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あなたならなんて答える? 「ママ、赤ちゃんってどこから来るの?」 ──とにかく明るい「性教育」の始め方(2)

「ねぇ、ママ? なんで赤ちゃんってできるの?」──命のはじまりについてのごくシンプルな質問ですが、この質問にすんなり答えられるお母さんは少ないのでは? 今回は、子育て中のママがいつかは必ず出会う難問への回答対策についてご紹介します。

のじまなみさん (教えてくれたのは!)
性教育アドバイザー・「とにかく明るい性教育【パンツの教室】協会」代表理事
のじまなみさん
HP:https://pantsu-kyoshitsu.com/

「なんで赤ちゃんができるの?」と聞かれました!

Q:3歳の娘に「なんで赤ちゃんができるの?」と聞かれました。うちの子は早熟すぎるのではないかと心配です。

3歳になる娘がいます。最近、保育園のお友達にもじょじょに弟・妹のいる子が増えてきて、送り迎えに小さな赤ちゃんを連れてくるママが増えてきました。
そのせいか、唐突に「ねぇ、ママ? 赤ちゃんってなんでできるの?」と聞いてくるのです。ちょうど送り迎えで自転車に乗っているときだったので、聞こえないふりをしてやり過ごしましたが……。
こんな質問をしてくるなんて、うちの娘は早熟すぎるのではないでしょうか? 自分の子育てがうまくいっていないのではないかと心配です。

イラスト:おぐらなおみ(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)

性に関する質問は「まず受け入れるが鉄則

A:チャンスは一度だけ! 性に関する質問は「まず受け入れる」が鉄則

その時は必ずやってくる! 5歳までに80%というデータも

まず、安心してください。子どもたちが命のはじまりに興味を持つのは自然なこと。そして、それを素直に親に訪ねてくるということは、親子の信頼関係がしっかり成り立っている証拠です。むしろ、あなたの子育てはうまくいっているのだと自信を持ってください!!

もちろん、急にこんな質問をされたらどう答えたらいいのかと焦る気持ちはわかります。でも、80%の子どもたちが5歳までにはこのタイプの質問を親にするというデータもあるんです。つまり、子育てをしている限り、けっこう早いタイミングで対峙することになる問題なんですね。

セックスがなければお子さんも、私たちもこの世に存在しません。「性」は「人間としての軸」なのだということを念頭に置いて、はぐらかさずに答えてあげるようにしたいものです。内容が少し事実と違うものであったとしても、子どもたちにとって、親にしっかり受け入れてもらえた、向き合ってもらえたという満足感を与えることは、親子関係をより強固にするでしょう。

大人にできることは一つ! 「とにかくまっすぐに向き合う」こと

命のはじまりへの興味は、「自分という存在」に関心を持っているのと同じこと。子どもたちは自分のルーツを知ることで、生きていくための強い土台を作ろうとしているんです。

そんな真摯な質問を投げかけてくる子どもたちに対して私たち大人ができることは、妙なタブーは作らず、まっすぐ質問に向き合い、答えること。間違っても「そんなことはまだ知らなくてもいい!」なんて突っぱねるのは避けたいものです。「黙る」「否定する」「逃げる」などの反応をするママたちも多いようですが、これらは子どもたちに「性の話はタブー」という強烈なトラウマ体験を残すことになります。

その場はやり過ごせたとしても、性に関する質問をしたときに親がドキッとして黙り込んだり、あたふたしたりする姿を見れば、子どもたちは「これは質問してはいけないんだ」と思うことになるでしょう。そして、「そんなことを聞かなくていい」などと拒絶されてしまったら……子どもたちは二度と親と性のことを親に聞けなくなってしまうでしょう。人間の根幹にかかわる質問だけに、それを拒絶されたときのショックはとても大きいのです。

どう答えたらいいか分からない! そんなときは「魔法の言葉」で切り抜けて

とはいえ、どんな親でも最初に子の質問を投げかけられたら、どう答えたらよいのか迷うことでしょう。そんな時にオススメな魔法の言葉があります。
「いい質問だね!」
ドキッとしたら、一度深呼吸をしてから、こう答えてみてください。

イラスト:おぐらなおみ(『お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』より)

この言葉には実は3つの効果があります。
  • お母さんのドキッとした表情を隠せる
  • 子どもたちに「受け入れてもらった」と感じてもらうことができる
  • 「なんでそう思ったか」にフォーカスを当てることができる

「なんでそう思ったか」にフォーカスを当てることができる

「赤ちゃんってどこから生まれてくるの?」「童貞ってなに?」「ぼくのちんちん、大きくなる?」など──命のはじまりについての質問は、実にさまざまな形で投げかけられます。いずれの問いかけにしても、その質問をするに至った経緯があるはず。そこにフォーカスすることが大切なんです。

「なんで?」の裏側にある本当の理由にアプローチして初めて、子どもたちの求める内容を答えてあげたり、間違った認識を正してあげたりすることができます。適切な対処のためにも、一呼吸おいて「魔法の言葉」を繰り出してみましょう。

もし答えられない質問でも、無理に応えようとしないでOK! そんな時は「ママ、後で調べておくからね」で十分です。子どもたちにとっては、性に関する質問を受け入れてもらえたこと、向き合えてもらえたことが何よりも大事な経験。お母さんが回答を用意したころに、子どもたちはすっかり質問のことなど忘れてしまっているかもしれませんが、きちんと回答を伝えてあげてくださいね。

こういった繰り返しで、お母さんの愛情と真剣さが子どもたちの生きる土台をより頑丈に、さらには何でも相談できる親子関係の第一歩になりますよ!

参考

ABOUT ME
富澤比奈(取材・文 ライター)

富澤比奈(取材・文 ライター)
1978年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、語学系出版社で主に社会人向け英語教材の制作に携わるが、20代半ばで独立。以降、語学・教育系の執筆・教材制作だけでなく、「日経エンタテインメント!」「an・an」「週刊テレビガイド」などエンターテインメント系雑誌・ウェブサイトおよび、「リトル・ママ」など子育て系メディアの編集・執筆や、オウンドメディアの制作協力・執筆など、幅広く活動している。